NHK受信料制度-最高裁は合憲判決!しかし実質的にはNHKの敗訴

NHK

どうも、零士です。

 

「NHKの受信料制度は合憲なのか?」

この問題について過去さまざまな意見があり、いろいろと裁判なども起きてきました。

 

そして、来たる2017年12月6日に、NHKの受信料制度が憲法が保障する「契約の自由」に反するのかどうかを争った訴訟問題で、初めて最高裁大法廷による判決が下されました。

最高裁による初判断は「合憲」であった。

 

 

今回の裁判における訴訟内容

今回の裁判は2006年にテレビを設置していながら受信契約を拒んでいた東京都内の60代男性に対し、NHKが契約の締結及び未払い分の支払いを求めて裁判を起こしたものです。

 

NHKによる未契約者への訴訟は過去に約300件起こしているが、最高裁による判決は初めてです。

 

 

今回の裁判における争点は以下の4つ

今回の裁判では以下の4つが争点としてあらそわれました。

①放送法64条の規定が憲法に違反するのかどうか

②受信契約はどの時点で成立するのか

③いつから支払いの義務が生じるのか

④いつから時効によって支払い義務が消滅するのか

これらの内容について最高裁が判決をくだしました。各項目ごとに詳しく見てみましょう。

 

 

放送法64条の規定が憲法に違反するのかどうか

一つめの「放送法64条が憲法に違反するのかどうか」については以下の判決が下されました。

 

放送法64条 は「協会(NHK)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と規定しています。

 

最高裁判所は「受信料の仕組みは、憲法の保障する表現の自由のもとで国民の知る権利を充たすために採用された制度で、その目的にかなう合理的なものと解釈され、立法の裁量の範囲内にある」と指摘しました。

 

そのうえで「受信契約を結ぶことで支払い義務を生じさせるのは、NHKがテレビなどを設置する人の理解をえてその負担によって支えられる事業体であることに沿ったもので、妥当な方法だ」として憲法に違反しないと判断しました。

 

要約すると、放送法64条は合憲であると判断したという事です。

 

NHKはこの争点について、最高裁判所にて合憲と認められたことを大々的にアピールをし、裁判で勝訴したと言っています。

 

 

受信契約はどの時点で成立するのか

二つめの「受信契約はどの時点で成立するのか」については以下の判決がくだされました。

 

これについて最高裁は、「契約を申し込んだ時に契約が成立する」というNHKの中心的な主張は認めず、「NHKが裁判を起こして訴えを認めた判決が確定した時」だと判断しました。

 

これはどういう事かというと、NHKは受信契約を結んでくれない人に対し、「受信契約を結ぶお願いをした時点で契約が成立するようにして!」と主張していました。

これに対し最高裁は、「それはダメだよ!今までと同じで、契約しない人と契約したければ裁判で勝った時だよ!」という事です。

 

NHKの受信契約を拒み続ける人に対し、契約を結ぶには従来と同じで、裁判を起こし勝訴するいうのは膨大な手間と時間がかかるのです。そのためNHKはこれを簡素化し未契約者と簡単に契約を結べるようにしたかったのです。

 

実はこれは、NHKがもっとも重要とした争点の一つで、この裁判におけるメインともいえる内容でした。しかし、結果はNHKの主張が認められませんでした。

 

 

いつから支払いの義務が生じるのか

三つめの「いつから支払いの義務が生じるのか」については以下の判決がくだされました。

NHKが「受信機を設置した時」だと主張したのに対して、男性側は「契約が成立した時」だと反論していました。

 

最高裁は、「同じ時期に受信機を設置したのにすぐに契約を結んだ人と結ばなかった人との間で支払うべき受信料に差が生まれるのは公平とは言えない。受信機を設置した時に支払い義務が生じるとした規定は、公平を図るうえで必要かつ合理的だ」としてNHKの主張を認めました。

 

要約すると、契約した時期ではなく、テレビを設置した時から支払い義務が発生するということですね。

 

よろしければ下記の記事もご覧ください。

NHK受信契約拒否で訴えられる?実例でみる訴訟になるケースまとめ
NHKはさまざまな不祥事を起こしており、金銭に関わる不祥事も相次いで報告されています。そんなNHKに嫌気がさし、受信料不払いなどの動きも起きました。しかし、不祥事に嫌気がさしたという理由で受信料を払わなくてもいいのでしょうか?結論から言いますとNHKと契約を結んでいるならば受信料は払わなくてはなりません。最悪の場合、訴訟問題になる事もあります。

 

 

いつから時効によって支払い義務が消滅するのか

もともと受信料に対する時効というものは放送法でははっきりとは定められておらず、あやふやな状態でした。しかし2014年に最高裁によってくだされた判決により、受信料の時効は5年という認識が一般的になりました。

 

ですので受信料の時効は5年と言うのは通例的でしたが、今回の裁判ではいつから数えて5年なのかという点が争われました。

 

これに対し最高裁は、判決が確定して契約が成立した時が起点になるという判断を示しました。

 

契約が成立した時から5年が経過すると、5年以上前の支払い義務が消滅します。

 

最高裁の判決がくだされた日が契約成立した日となりますので、この日より5年経てば、それよりも以前の支払い義務が消滅するということです。

 

しかし、今回のケースではこの裁判により契約が成立となったため、それ以前(受信機を設置していながら契約をしていなかった期間)の支払い義務は消える事がなく、約8年間分の受信料である約20万円の支払いが命じられました。

 

 

今回の裁判は実質的にはNHK側の敗訴

今回の裁判の判決内容において、受信料制度は合憲であるという判断が示されたため、各社の報道ではNHK側の勝訴と大きく報道されました。

 

実際にこの判決をうけて、NHKの契約世帯支払い率が増加しています。報道で合憲であると強調されたのが影響したのではないかなと思います。

 

しかし、判決内容をよく見返してみると、受信料制度は憲法に違反しないとしたものの、実際は今までと何一つ変わってないという事が分かると思います。

 

先程も触れましたが、「受信契約はどの時点で成立するのか」という争点ではNHKの主張が認められませんでした。

 

この部分が実質的にNHKの敗訴であると言える点です。この判断が下されたことにより、NHKは、受信料を払ってくれない世帯に対し、契約のお願いをし続けるしかないという事ですね。

 

また確実に払ってもらうには未契約の世帯に対し、訴訟を起こし、裁判で勝つしかありません。さらに言うなら裁判を起こすという事は確実に勝てるように間違いなく受信機を設置しているという確証を持った時のみでしょう。実際に受信機があるかないのか分からないのに裁判を起こす事はまずあり得ませんので。

 

放送法64条は合憲だが、放送法には罰則の規定はない

今回の最高裁判断により、放送法64条は「合憲」であると示されました。しかし、そもそも放送法には受信機設置をした場合はNHKと契約を結ぶ義務があると規定されていますが、罰則の規定がない。

 

つまり、契約をしなくても、法的に処罰を受ける規定がないのです。通常の法律は大体罰則規定がありますが、放送法にはないんですね。

 

これは法整備の穴なのか、どうかは分かりませんがいずれにしても罰則がない時点で契約を拒む事も可能になっているんですね。

 

詳しくは下記をご覧ください。

NHKは受信契約は義務なのか?契約しないとどうなる?
NHKの受信料制度については不満を持っている方も多くいらっしゃると思います。「納得はできないけど、決まりだから仕方なく払っている」という方も多いでしょう。一方で払ってない方々もいるのも事実です。払っている方からすれば、「払わなくていいなら、払いたくない!」と思う方もいるでしょう。でも、ちょっと待ってください。そもそもNHKの受信料って払うのが当たり前なのでしょうか?

 

 

 

今回の判決をくだした最高裁長官は退官間近だった。

今回の判決をくだしたのは寺田逸郎最高裁長官(69)です。最高裁の裁判官は70歳が定年であり、寺田氏も2018年の1月9日に70歳の誕生日を迎え、退官予定となっております。

 

最高裁の裁判官は10年に一度の国民審査というものを受けます。この国民審査により最高裁裁判官を罷免するかどうかを国民が決めます。最高裁裁判官にふさわしくないと思えば国民審査で罷免に投票をする事になります。

 

今回の最高裁長官の寺田氏は定年目前であり、国民審査を受けることなく、定年を迎えます。もし、これがもっと若手の方で後に国民審査を受ける事があったなんて事になれば、国民の反感を買い、罷免されるなんて事態になった可能性も否定はできないでしょう。

なのであえて、定年間近の裁判官を選んだ感があるように感じます。

 

 

まとめ

それでは今回のまとめです。

 

今回の裁判で争われた4つの争点で最高裁により以下の判決が下されました。

①放送法64条は憲法に違反しない

②受信契約はNHKが裁判を起こして勝訴した時

③受信機を設置した時から支払いの義務が生じる

④受信契約が成立してから5年たった時の5年以上前の分より、支払い義務の時効が成立

 

今回の裁判で合憲と判断されたものの、未契約世帯への契約方法は従来と変わらず、直接契約を結ぶ必要があるという判断でした。

 

今回の判決によるとらえ方は、個人により違うと思います。「合憲で当然だ」と考える方もいれば、「今回の判決に納得できない」と考える人もいるでしょう。しかし、司法の最高機関が「合憲」であると判断した以上、これを覆すのは容易ではありません。

今回の判決によりひとつの決着がついたと言えると思います。

 

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